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    顎関節症 と T C H

     

    顎関節症とは?

    長い人生の間に、2人に1人が患う。
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    顎関節症の典型的な症状は、①口を大きく開けられない(開口障害)、②開口時、顎関節付近に痛みが出る(開口時痛)、③開口時のクリック音(カクンコキン)・クレピタス音(ガサガサゴソゴソ)です。

    はじめて顎関節症になった時は?

    まずはそのまま安静にして様子をみる。

     

     今まで、問題なく何でも食べられていたのに、ある日突然顎の調子がおかしくなった場合は、しばらく様子をみることをお勧めしています。しかし、現在歯科治療継続中であったり、以前に顎関節症治療を受けた経験がある場合はこの限りではありません。ご注意ください。

     

     例えば、寝相が悪くて、朝起きた時に顎の調子がおかしい。硬い物を噛み過ぎて、顎の調子がおかしい。大きなアクビをしたら顎が痛くなった。・・・・こうした症状が或る日突然現われたら、一番良い方法は、安静にして1週間ほど様子をみることです。

     安静時にズキズキ激しい痛み(自発痛)が伴う場合は、鎮痛剤を服用することも有効である場合もあります。 

    マウスピースを使わない治療

    なぜマウスピースを使用しないの?

     

     マウスピースを入れることでかみ合わせが高くなります。顎関節部の痛み発症部分も浮き上がることで楽になります。症状が和らいだ状態で、マウスピースを少しづつ削って、かさ上げしたかみ合わせの高さを低くしていく治療法です。この治療法では、多くの場合、「隠れ顎関節症」になっており、顎関節症は治っていません。したがって、この状態でTCHが増えるようなことがあると、再度顎関節症症状が現れてきます。

     

     隠れ顎関節症の診断方法は簡単です。無理に大きく開口させた時に、顎関節部に痛みが出ます。このような症状があれば、TCH是正指導を受け、無理に開口しても痛みが出ないようにする必要があります。


     木野孔司元東京医科歯科大学の研究グループが、マウスピースを使わず、かみ合わせ調整することなく、TCHの是正だけで日常生活に困らない程度に症状を改善出来るようにしました。 

     

     

     

     

    なぜ、顎関節症になるの?

    顎関節症は、歯科治療から始まる?

     

     歯科治療を受けて、「少しかみ合わせが高いのです」と訴えても、「時間が経てば、おさまります」という歯科医院には注意しましょう。歯科治療後、噛んだ時に、違和感があると、絶えず治療を受けた歯に舌や対合する歯を当てるようになります。 多くの患者さんは次第に気にならなくなりますが、一部の患者さん(TCHリスクの高い患者さんに多い)では、咬合違和感という症状が現れ、顎関節症へと発展してゆきます。場合によっては、日常生活にも事欠く事態に陥ります。木野先生の率いていた東京医科歯科大学病院の顎関節治療部には。こうした患者さんが全国から来院されていました。

     


     気になる歯をいじり続けると、歯を支えている歯槽骨と歯根とを強固に連結している歯根膜に炎症が起こり、僅かですが歯が浮き上がります。こうなると、さらに高いものをかぶせたように感じ、咬んだ時に高い歯だけが当たるようになります。歯根膜に炎症があるので、高い歯がかみ合うと痛むため、避けて食べるようになります。この段階で、下顎がいつもの位置とは違う上顎の位置とかみ合わせてしまう状態、すなわち顎位が不安定な状態になります。たった1本の歯の歯科治療からこのような症状で悩まされる可能性があります。

     


     かみ合わせ治療に精通した歯科医の治療を受けた場合、かぶせ物や詰め物を入れるための形を取った時、必ず仮歯を入れてもらえます。そして、次の来院日まで使用する仮歯で、何ら違和感なく日常生活できるはずです。 出来上がったかぶせ物や詰め物を入れた際にも、治療イスから降りた時には、隣の歯と少しきつい感じがしますが、その他には何も違和感がないはずです。隣の歯ときつい感じは、1~2時間で解消します。きつい感じがないと、接触点の部分がゆるいため、食事のたびに、繊維質の食べ物が歯と歯の間にはさまり、重症な歯周病へ発展する原因となることがあります。